近藤 菜月
私は教育学部時代に、「主体的な学びとは何か」という問いから、フリースクールなどの、通常の学校と異なる教育実践について学びました。その中で、途上国に西欧から学校教育が導入される際の文化的・社会的課題に関心を持つようになり、GSIDの教育・人材育成コースへの進学を決めました。
当初、英語での自己紹介1つにも緊張していた私は、何か国語も操る留学生たちに圧倒されたのを覚えています。しかし私の拙い英語にも真剣に耳を傾けてくれ、いつも活発に議論を交わした仲間達とは、授業の外でも多くの時間を共にし、互いの文化や価値観について生き生きとした学びを得ました。海外経験の豊富な学生が多い中、自分の調査地を決めていなかったことにも不安を感じていましたが、GSIDではインターンシップや留学、海外から招かれた講師の講演など様々な機会があり、私もある講演に出席したことをきっかけに、ガーナのUniversity for Development Studiesで調査を行う機会を得ました。前期課程では、見知らぬ土地で調査をし、1つの研究をまとめあげることの難しさを思い知ったと同時に、後期課程でその技術をもっと磨きたいと思いました。
後期課程に進んだ今は学校教育という枠組みから一旦離れ、ガーナの農村コミュニティの自助運動をテーマに、個人の成長と社会変革のつながりという視点から研究を進めています。前期課程では短期間しかできなかった現地調査も、後期課程の1年目には5か月間ガーナの農村部で暮らしながら、現地の人々とじっくり向き合う経験をしました。後期課程では自由な裁量が増える分、自己マネジメントのスキルが一層求められます。GSIDでは日頃の指導に加え、指導教員と副指導教員による進捗審査が学年毎に設けられており、研究計画を立てる際の基準となります。学生の自律性が尊重されつつ、定期的な審査を中心とした綿密なサポートを受けられることも、GSIDが研究を進める上で恵まれた環境であると感じる魅力のひとつです。