受賞者情報

芦田明美准教授の共編著が2025年度国際開発学会賞選考委員会特別賞を受賞

2025年11月 29日から30日にかけて広島大学で開催された国際開発学会第 36回全国大会において、本研究科の芦田明美准教授が共編著として携わり、Palgrave Macmillanから2024年11月に出版された『Towards Ensuring Inclusive and Equitable Quality Education for All: Analyzing School Enrolment Patterns』が、2025年度国際開発学会賞選考委員会特別賞を受賞しました。

特別賞

国際開発学会は国際開発、国際協力をキーワードに、大学の研究者のみならず、開発の現場の実務者の方々から構成される、学際的な特色のある学会です。研究分野も、経済学・教育学・政治学など幅広く、開発にかかわるさまざまな理論や実践についての学際的研究や議論が積み重ねられています。また、同学会では毎年、会員による国際開発にかかわる諸問題に関する研究成果を取りまとめて出版された著作や論文を選考し、研究成果の顕彰を行なっています。

今回受賞した作品は、開発途上国における子どもたちが小学校、中学校への入学後、留年や中途退学などのプロセスを経て卒業あるいは退学に至るまでの実態を、修学のパターンとして捉え明らかにした、アジア、ラテンアメリカ、アフリカの3地域11カ国対象のケーススタディをまとめたものです。本研究は正コーホート法により収集した縦断的なデータベースを用いて、子どもたちの修学実態を明らかにした、唯一の研究成果です。マクロなレベルでの教育政策を検討する際、一般的に用いられるのは横断的データと呼ばれるものですが、その横断的データ分析では通常見逃されてしまうような、平均値に現れない個々のこどもたちの特異な実態を明らかにし、提示することを試みました。また、マクロな視点にとどまらず、ミクロな視点から半構造化インタビューにより個人レベルでのデータの裏付けを取ることを試み、量的分析と質的分析を組み合わせた混合研究デザインを採用しました。

また、本書は比較教育・教育政策の分野の世界的権威であるGita Steiner-Khamsi教授(米国コロンビア大学)や、Comparative and International Education Societyの会長を務めておられる黒田一雄教授(早稲田大学)の推薦を受け、前書きにはお二人からのメッセージが寄せられています。比較教育学、国際教育開発、国際協力を専門に政策立案に携わる方々、実務者の方々、研究者やこの分野に興味を持つ大学院生のみなさまに、本書をぜひ手に取り、目を通していただければ幸いです。

国際開発学会 https://jasid.org
Sekiya, T., Ogawa, K., Kitamura, Y., & Ashida, A. (Eds.). (2024). Towards Ensuring Inclusive and Equitable Quality Education for All, Palgrave Macmillan. 
https://link.springer.com/book/10.1007/978-3-031-70266-2

Towards Ensuring Inclusive and Equitable Quality Education for All: Analyzing School Enrolment Patterns