アジアの紛争と教育機会の逸失:包括的データベースの構築と因果関係の実証分析
本研究は、アジア地域における武力紛争による子どもの教育機会の喪失状況を可視化することを目的としている。グローバルな紛争データ(GIS情報を含む)と国家レベルの社会・教育調査データを統合し、1990年以降アジアで発生した紛争と教育機会の逸失状況を地理的にマッピングすることで、紛争の教育への波及効果の範囲、その影響が時間とともにどのように変化するか、およびこれらの影響が個人の社会経済的地位によってどのように異なるかを捉え、アジアにおける紛争と教育に関する国際的なデータベースを構築しようとするものである。近年、欧州や中東では大規模な戦争が続いているが、紛争などの危機的状況に直面している学校年齢層の子どものおよそ4分の1(約5,700万人)はアジア地域に集中しているとされる。さらに、学校に通っていない子どもの約半数は、アジアの3カ国とアフリカの5カ国に集中しており、アジアにおける紛争と教育の強い関連性が示されている。しかし、アジアにおける紛争と教育に関する包括的で比較可能な国際データは不足しており、関連する研究も他地域と比べて少ないのが実情である。このギャップに対応するため、本研究プロジェクトは、アジア地域における紛争と教育の因果関係を探る研究の基盤として、大規模で実証的なデータベースの構築を目指している。


(国連勤務時)


- 研究種目
- 科学研究費 基盤研究 (B)
- 研究代表者
- 内海 悠二
- プロジェクト期間(年度)
- 2025-2029